上の表は、平成23年度の社会生活基本調査から、「有業・独身の35歳未満男女の平日」の時間の使い方を居住地区別にまとめたものです。わかりやすくするため、町村・小都市・大都市・東京都の4つに分けて、それぞれの項目を分単位で示しています。なお、地域であまり差がなかったものは省略しているので、全部足しても24時間(=1,440分)にはなりません。これをみると、以下のことが言えそうです。
都市部のほうが睡眠時間は短い
最も寝ている「小都市」と比較すると、20分近く睡眠時間が短くなっています。それだけしたいことが多くて楽しい生活を送っているのか、それとも長時間労働で睡眠時間を削っているのかはわからないので、一概によし悪しは言えませんが。
通勤含め、仕事が占める割合が大きい都市部
都心名物の満員電車。ストレスフルなだけでなく、所要時間も随分長いようです。最も短い小都市に比べて、約40分長いという結果が出ました。さらに仕事でも、最も短い小都市に比べ東京都民は46分長く働いています。つまり、仕事関連の時間が、小都市に比べて東京都では一日1.5時間近く長いことになります。アンケートでは「かつては満員電車に乗っていたが、今は歩いて会社に通えるので、ストレスがずいぶん減った」という回答がありました。
町村より小都市のほうが通勤時間・労働時間ともに短くなっているのは、過疎地域だと車での通勤に時間がかかったり、一次産業の割合が増えたりするからでしょうか。
都会でも地方でも、独身の若者は家事に時間をかけない
小都市の15分に対して、東京都では7分。どちらにせよ、洗濯機をまわすくらいの時間しかないように思えますが、独身有業の若者はどこでも忙しく、家事に費やす時間は少ないのかもしれません。
テレビ大好き、ゆったりくつろぎ趣味を楽しむ小都市の人々
驚いたことに、小都市の人々(あくまで平均です)は、一日に102分もテレビ(あるいはラジオ・新聞・雑誌)を見ています。そしてくつろいでいる時間も96分と最長、趣味に没頭する時間も54分と長く、合計で4時間を超えます。東京都がそれぞれ49分、68分、39 分であることと比較すると、1.5時間ほど、小都市の人たちのほうがゆったりと生活しているようです。
人付き合い、スポーツに時間を使う都会人
では、都会の人達は人生を満喫していないのか?というと、そうともいえないようです。まず東京ではスポーツに費やす時間が小都市の5分の倍以上、11分となっています。そして人付き合い(交際・付き合い)にかける時間が小都市の18分の倍以上、38分となっているのです。労働・通勤時間が長い都会では、人々はテレビや趣味に没頭する代わりにまちに繰り出し友人と楽しくやっているようです。(ただし、会社の飲み会に嫌々巻き込まれている場合はこの限りではありません。)
まとめると、地方のほうが、東京よりも自分で使える可処分時間が長くなる傾向があるようです。実際に、生活に欠かせない寝食など1次活動、仕事など社会生活に関わる2次活動、自由に使える3次活動の所要時間を調べると、「寝食にかける時間はどこでも同じ、仕事の時間が長いのが都市、自由気ままな時間が長いのが地方」ということになります。
あなたが35歳未満独身ならば、仕事に打ち込みたい社交的な人は都会、一人で趣味の世界に没頭したい人は地方のほうが暮らしに向いているのかもしれません。